Excerpt for デジタルブックレット葦11号 by Hisamoto Yoshiko, available in its entirety at Smashwords

デジタルブックレット葦11号


久本福子

HISAMOTO YOSHIKO


SMASHWORDS EDITION


発行者 久本福子

発行所 SMASHWORDS

PUBLISHED BY HISAMOTO YOSHIKO on SMASHWORDS


デジタルブックレット葦11

Copyright©2011 by HISAMOTO YOSHIKO



福島原発と自衛隊 2011/5/19

(1)原発利権と韓国

4月半ば頃に、韓国の斗山インフラコアという会社が、原発の瓦礫撤去用に作られた遠隔操作が可能な建機ロボット11台を使って、福島原発内部の瓦礫の除去作業を開始したという。WEB版韓国紙で見て驚いていますが、朝日新聞もNHKも全く報道していません。おそらく菅政権は、韓国企業が原発処理事業に参入していることは、マスコミには公表していないのではないかと思われますが、韓国では現場で働く作業員を募集していることも大問題になっていましたので、韓国に支局を置くNHKをはじめ日本のマスコミ各社が知らないはずはありません。政府もマスコミも共犯的にこの事実を隠しています。

放射能に汚染された瓦礫の撤去作業は誰もが敬遠する仕事なので、韓国でもどこでも、やってくれる所があれば任せればいいではないかとの声もあるかもしれませんが、韓国企業や韓国人が福島原発内部に入りこむことは非常に危険です。廃炉利権を狙っていた当の韓国企業が福島原発内部にまで入るとは、事態は、連中の思惑どおりに着々と進行しつつあるということです。

その原発用建機は、写真で見ると、一目で新品だと分かる白いピカピカの小型ブルドーザー風のものですが、機能は、原発内での危機対応型の重装備型です。13キロ離れた所からの遠隔操作が可能で、放射線センサーが搭載されており、送信用ラジオ付きで7台のカメラまで付いた、原発内での瓦礫除去用に作られたものらしい。それを11台も福島原発内に運び込んで作業を進めているらしいのですが、韓国の企業が原発専用のブルドーザーを保有しているとは、とても偶然とは思えません。地震無縁国の韓国国内では、原発内で瓦礫の撤去が必要になるような状況はまずありえません。ましてや11台も保有していたとは余りにも不自然です。この11台は福島原発事故用に準備されていたことは明らかです。つまり、韓国は事前に東日本大震災はもとより、福島原発事故も知っていたということです。

わたしは「デジタルブックレット葦」10ー1号の「1菅直人の大罪」で、菅氏が、原発4機が全部爆破するのを待っていたのは、廃炉にする原子炉の数を増やすためだと指摘しましたが、まさにそのとおりの展開になっています。東電は4月に入ってから、廃炉事業をフランスの原発企業アレバに委託することを発表しましたが、おそらく菅政権のアドバイスもあったものと思われます。フランスのサルコジ大統領は、偶然というには余りにも偶然に、福島原発事故後の3月31日に来日して菅氏と会談し、原発支援を申し出ています。大統領は、離日に際して、菅氏を原子力に詳しい方だ、原発事故対応も問題なく進めているとベタ褒めしていました。与野党から原発対応のまずさに対して批判を浴びていた渦中でしたので、大統領の歯の浮くような見え透いたお世辞にも、菅氏は大いに力づけられたはずです。

このサルコジ大統領の来日には非常に唐突な印象を抱かされましたが、朝日新聞に掲載されていた中曽根元総理談話によると、大統領の来日は、震災前から予定されていていたらしい。とするならば偶然ではなく、福島原発事故を前提にして、大統領の来日が予定されていたということです。もちろんこれは、大統領の関知しないところで事前に準備されていた工程表によるものですが、人工地震と福島原発事故を計画した勢力が、大統領の来日と原発事故とをリンクさせてセットしたということです。いうまでもなく、福島原発の廃炉事業の独占的受託を狙ったものです。

ただ、中曽根元総理の話が事実なのかどうかは確かめようもありませんので、原発事故を受けて大統領が急遽来日したという可能性も完全には否定できませんが、いずれにせよ、サルコジ大統領の来日により、かつて例のない原発事故処理事業をフランスが先導するという流れが決定づけられたことだけは確かです。

ところで興味深いことには、原発事故後の処理の仕方では米仏では方針が異なっていました。アメリカは水を大量に注ぐことには懐疑的でしたが、フランスは、放水車で大量の水を放水している渦中でも、もっと注水する必要があるとの見解を発表していました。アメリカは事故後、厚いコンクリートで原子炉を覆う石棺方式を菅政権に提案していましたが、菅氏は当初はアメリカの支援を断って、大量の水を原子炉やその周辺に浴びせつづけ、原子炉を水で覆う水棺方式を採用しましたが、大量の放水が如何なる状況を生み出したかは今や誰の目にも明らかです。放射能に汚染された水の扱いは非常に難しく、原発事故の収束を遅らせている最大の原因になっています。廃炉事業に経験のある企業にとっても未体験の難事業です。

こういう特殊な状況になると、原子力大国フランスの出番ということになりますが、折りよく事前にサルコジ大統領の来日があり、菅氏との間で簡単に話が進む下準備が整えられていました。東電がフランス企業に廃炉を委託することに決定したという道筋は、東電も関知しないところで、ひそかに震災前から準備されていたはずです。事は予定どおり進んでいるわけですが、ひそかに廃炉に至るシナリオを作ったのは、いうまでもなく統一教会、韓国人勢力です。しかし韓国人が前面に出たのでは余りにも仕掛けが露骨で、自ら日本人大量虐殺を告白するも同然ですので、フランスを前面に立てたというわけです。しかし裏では菅政権とツーカーの韓国勢が事実上運営を仕切っているはずです。

5月17日の朝日新聞夕刊に、東電が福島原発3号機内の瓦礫の撤去のために、アメリカ製やスウェーデン製の遠隔操作ロボットを次々投入していることが紹介されていましたが、すでに韓国企業が瓦礫撤去作業を請負って作業を進めていることについては、一言も触れられていません。3号機はプルトニウムを使用しているので特に汚染濃度が高く、ロボットで遠隔操作せざるをえないようですが、1号機、2号機、4号機の瓦礫の撤去状況については一言も触れられていません。これは余りにも不自然です。おそらく韓国企業がひそかに福島原発の処理事業に参入していることが明るみに出ることを避けたのでしょう。この朝日の記事を読むと、福島原発の瓦礫の撤去は東電が直接作業を進めているとの印象を読者に与えてしまいますが、そういう効果を狙った記事であることは明らかです。

ところが5月14日の朝日新聞には、日本でも10年前の2001年に、原発内で事故が起こった際に、遠隔操作で作業ができる原発ロボットが6台作られたということと、東電をはじめ電力会社が、日本では原発事故は起こりえないとしてロボットの配備を断ったというニュースが大きく報道されていました。国の委託を受けて30億円もの税金が投じられて、日立、三菱工業、東芝など4社がわずか半年でかなりの水準のロボットを作ったそうですが、当の電力会社から不要だといわれ、ロボット6台のうち一部は東北大に引き取られ、1台は仙台市の原子力関連の博物館に展示されているそうです。残りは全て廃棄されたという。

廃棄された原発ロボットの技術が、どこかの国で無断で利用されている可能性もありそうですが、何というもったいなくも愚かなことをしたのかと思わずにはいられません。30億円も投じてロボットを作ったというからには、この頃は国もそれなりに、いざという時の原発の安全対策に力を入れていたということですが、肝心の電力会社にその危機感が欠如していたということです。

それにしても自国の優秀な技術が安全対策に十分に活かされていないということには、日本国民としては全く納得できません。菅政権が、原発内のセキュリティをイスラエルの会社に委託したことにも同様の不可解さを感じざるをえませんが、このセキュリティシステムは今回の原発事故では全く何の役にも立っていないということも明かになっています。しかし事故に至る経過や様子を映した映像ぐらいは残っているはずですが、菅氏はこれらの映像も米軍の無人偵察機が映した映像も未だ公開していません。 一刻も早い事態の収拾を考えるならば、事故後の原発内部の様子を映した映像は、少なくとも東電にはまっ先に見せるべきですが、おそらく東電にすら見せていないはず。菅政権が、原発事故の拡大しか考えてこなかったことは、これらの映像を秘匿していることからも明白です。

しかしさらに驚くべき事実が明らかになりました。5月18日の朝日新聞に、菅氏が共産党の志位委員長との対談で、福島原発内部に燃料棒も貯蔵されていたことは知らなかったと告白したとの記事が出ていまた。信じられない告白ですが、菅氏がこれほど自身に不利になるようなウソを言うはずはありませんので、事実そのものを正直に告白したものと思われます。であるならば、菅氏は総理大臣の座に居座りつづけることなどできないことは明々白々です。

福島原発に関わる菅直人の言動の軽々しさは、無知からくるものであることがなお一層明らかになったわけですが、無知であるにもかかわらず、原発の事故対応という、一刻一秒を争う複雑で緊迫した作業に、菅直人が直接現場に介入し、作業の方向を誤らせ、復旧作業を妨害した罪はまさに万死に値するといわざるをえません。つまり菅氏は総理の座どころか、この世に居座り続けることもできないほどの大罪を犯したということです。

収拾不能状態に陥っている現在の福島原発事故は、早期に電源が回復し、電力を使った注水と原子炉内での冷却水の循環機能が回復しておれば、仮に炉心熔融が始まっていたとしても、早期にその進行を止めることも可能であり、ここまでの悪化は起こりえなかったことは言うまでもありません。わたしが繰り返し指摘してきましたように、菅政権による現場への直接介入により、電源の復旧作業が事実上停止させられていました。17日から電源復旧作業が開始され、20日に通電に成功したものの、原子炉内での冷却水の循環機能を回復させる直前に汚染水の襲来を受け、循環機能が回復されないまま現在に至っています。

内部で水が循環する機能が回復すれば、過剰に注水する必要もなく、外部に汚染水が漏れ出ることもありません。現在は通電はしているので、消防車を使わずとも電力を使って原子炉のポンプによる注水ができるようにはなったものの、原子炉内部での水の循環機能を回復させる作業は出水のためできていませんので、注水する一方となり、汚染水が溜る一方だという状況が続いています。そこで炉の外に冷却水の循環装置を作る作業を進めているようですが、これも予定どおりには進んでいません。

以上の経緯は何度でも繰り返し反芻する必要があります。というよりも、反芻する必要もないほど、福島原発事故の原因は単純明解です。菅政権が電源復旧作業を事実上妨害したことが唯一最大の原因だということです。これは繰り返し声を大にして言いたい。

目下、新聞、出版など全マスコミは、原発の危険性と原発利権をめぐる黒い霧を暴くことに精力を注いでいますが、それらの告発をする前に、目前の福島原発事故の直接の原因を明らかにすることこそが、今もっとも重要なことではないか。福島原発事故は、時の政権、総理大臣が原発の作業現場に直接介入して、原発事故の収束を遅らせ、被害を拡大させたたという、前代未聞の政治的犯罪によって引き起こされたものだからです。この事実を明らかにした上で、原発が本来的に孕む危険性についても広く論議すべきです。現在は、原発の危険性を煽る記事で菅政権の恐るべき犯罪が隠蔽されています。

(2)東電の内部資料

その菅政権の犯罪を詳細に証明する記事が、5月13日の朝日新聞に出ています。地震発生後から4月30日までの福島原発事故を巡る動きを時系列で記録したという東電の内部資料の一部ですが、初動の遅れが原発事故の最大の原因だとかねてから指摘されてきましたが、その初動の具体的な状況が初めて明るみに出されました。これまで初動の遅れとはベントの遅れを意味しており、もっと早くベントをしていれば事態の悪化は防げたはずだと言われてきましたが、実はそのベントが逆に事態の悪化を招いたことが、本資料によって明らかにされています。

3月11日地震発生直後の東電は、当然のことながら電源確保に向けて全力を挙げていたことが記録に残されています。電源車が一刻も早く現地に到着するように、警察の先導を要請するようにとの指示も東電から出されています。この要請が実際に実行され、警察の先導で電源車51台が無事到着したのかどうかは不明ですが、おそらく実現していないのではないかと思われます。この後間もなく、菅政権の現場への直接介入が始まったからです。総理大臣が本当に原発の仕組みを熟知し、本気で危機を阻止する気持ちがあったのであれば、総理大臣が直々に警察の先導を要請し、一刻も早く電源車が到着するような体制を整えたはずです。これこそが総理大臣のなすべき仕事ですが、菅および菅一行は電源確保、電源復旧の必要性は毛ほども感じていなかったことはすでに何度も指摘したとおりです。

その上菅氏は呑気にヘリを使って原発視察にお出ましになり、現地でベントの講釈をなさっていますが、この時の菅氏の訪問は現地には事前に連絡済みで、資料の12日午前1時30分の記録には「10:00総理大臣が1Fへ向かう予定」と視察場所が具体的に指定されています。さらに同日午前6時14分には「本店。菅首相1Fに向かう意向→装備を用意すること」との記録も残されています。菅氏がこの日の早朝の福島原発訪問に際し、1Fを視察することを繰り返し東電に伝えていたことが分かります。異常も異常。菅訪問に関する連絡、対応だけでも、1分、1秒を争う作業に追われている現場にとっては、ムダな仕事が加わり、作業の進行の妨害になったことは言うまでもありません。

菅氏はなぜ1Fの視察を繰り返し東電に伝えたのか。言うまでもなく、作業妨害を狙っていたからです。電源が切れた中、手動でベントの準備をせざるをえないという、非常に緊張を強いられる困難な作業をしている、その現場である1Fを視察することにこだわったこと事態、作業妨害を狙ったものだとしか思えない異常さですが、仮にも一国の内閣総理大臣がベントの作業をしている1Fを視察するとなれば、視察が済むまではベントを実施することは出来ません。事実、この日のベントは内閣総理大臣が帰った後の午前10時17分に開始されたことが記録されています。

菅政権によるベント命令が異常なものであったことは、12日の早朝6:59に、海江田経産大臣から出された、電源復旧よりも、手動でのベントを優先せよとの命令が象徴しています。ところがその少し前の6:14に「菅首相1Fに向かう意向→装備を用意すること」との指示が出ています。これではまるで、菅直人が1Fに来る頃を狙ってベントさせようとしているとしか思えません。ベントによる放射能にまみれながら原発を視察する総理大臣菅直人という、悲愴感漂う写真を撮ることをも狙っていたのではないか。陰謀家集団菅政権なら十分ありうる想定です。

しかし東電は常識的な対応をし、菅一行が去るまでベントを遅らせ、菅一行が期待していた決定的瞬間を決めることはできず、福島原発では、机に座って東電の説明を聞くという、緊迫感の欠けた場面しか撮影できなかったようです。以降、15日まで毎日ベントが繰り返されており、この間、原発危機対応の最大の作業がベントであったことが資料から読み取れます。しかしベントだけでは原子炉の危機を促進するだけであることは、今や子どもにも分かるほど明白です。しかし海江田経産大臣が常駐した東電では、菅政権の監視下のもと、15日まで毎日ベントを繰り返し、電源復旧対策は脇に追いやられたも同然の状況が続いていました。

もし仮に、12日からでも電源復旧作業のためのあらゆる手立てが講じられていたならば、数日で電源は復旧し、出水もせずに内部の電気回路も回復し、注水のみならず原子炉内での冷却水の循環機能も回復し、原発被害はもっと小さくて済んだことは明白です。しかし菅政権の直接介入下でベントを繰り返すという日々が続きました。

この間、何が起こったのか。言わずと知れた1号機から4号機までの原子炉の相次ぐ爆発です。そして15日には4号機から出火し、1号機から4号機まで全てが損傷を受けました。そこで菅氏は4機の原発の破壊が完成したのをみて、翌16日に自衛隊に原発へのヘリを使った放水要請を出しました。突然の放水要請であったにもかかわらず、自衛隊は仙台駐屯基地から現場に向かい、上空からの放水を試みました。しかし、高濃度の放射線量に原子炉に近付けず、この日は放水を断念。翌17日から自衛隊の放水や各自治体から派遣された消防による放水が始まります。

ここであらためて不可解に思うのは、なぜ菅氏は1号機の爆発後すぐに自衛隊の出動命令を出さなかったのか。1号機の爆破後すぐに自衛隊の出動命令を出していたならば、爆発の詳細な現場検証もできたはずですし、爆発の原因もこの段階で明確になっていたはずです。しかし菅氏は4機全ての損傷が完了するまで放置しつづけ、16日になって突如自衛隊に放水のための出動要請を出しています。これはどう考えても総理大臣の任務放棄以外の何物でもありません。

わたしは最近まで、菅氏が放水要請しかしていないので、自衛隊には原子力災害に当る任務は明確には規定されていないのかと思っていましたが、平成11年に「原子力災害対策特別措置法」が制定されており、内閣総理大臣が自衛隊に対して原子力災害派遣を要請することができるとの規定が作られています。実は手近にあった柴田哲孝氏の『GEQ』を何気なくパラパラとめくっていて、偶然にも開いた折り目のついたページにふと目を落としたところ、「自衛隊の災害派遣」と書かれた文章が目に入り、この措置法の存在を初めて知って、びっくりしています。

同法のポイントを『GEQ』から引用します。

1 原子力災害対策本部長(内閣総理大臣)の要請により、部隊などを支援のために派遣することができる。

2 原子力災害派遣を命じられた自衛官が必要な権限を行使できる。

3 原子力災害派遣についても、必要に応じ特別の部隊を臨時に編成することができる。

4 原子力災害派遣を行う場合についても、即応予備自衛官に召集命令を発することができる。

この後もさらに原子力災害時の規定が綿々とつづいているそうですが、当時の政権と防衛省は、原子力災害が起こりうるとの想定に立って、同法を作ったものと思われます。この原子力災害対策特別措置法が成立した同年の2001年に、原発災害を想定した原発ロボットが作られていますので、当時、日本では、政府も省庁もともに、原子力災害が起こりうるということをひそかに想定していたことは明らかです。

強化されつつあった日本の原子力災害への防衛、保安体制は、その後の省庁再編、構造改革でかなり弱体化されたものと思われますが、ともかくも、原子力災害時の自衛隊の対応を定めた特別措置法は現在も生きています。今回の原発災害では、同法成立後初の運用になるわけですが、菅直人はこの法律をどう活かしたのか、検証してみました。

そこで自衛隊のホームページを調べたところ、以下のような命令が出されていました。以下の防衛省のホームページからのコピーは、5月16日現在のものです。本日(5/19)、同省のホームページを確認したところ、なぜか、以下の「23、3、12」付けの命令は全て姿を消しています。

<防衛省・自衛隊> 

東京電力株式会社福島第一原子力発電所及び福島第二原子力発電所における原子力緊急事態に対する原子力災害派遣の実施に関する自衛隊行動命令

自行原命第5号

23.3.12

0920

1 平成23年3月11日1920に東京電力株式会社福島第一原子力発電所に関し、原子力災害対策特別措置法(平成11年法律第156号)第15条第2項の規定に  より内閣総理大臣が原子力緊急事態宣言(同項に規定する原子力緊急事態宣言をいう。以下同じ。)を発出した。

内閣総理大臣は、内閣総理大臣官邸に同法第16条第1項に規定する原子力災害対策本部を設置し、同法第20条第4項の規定により、原子力災害対策本部長か ら防衛大臣に対し、自衛隊の部隊等の派遣の要請がなされた。

また、同月12日0915に同社福島第二原子力発電所に関し、同法第15条第2項の規定により内閣総理大臣が原子力緊急事態宣言を発出し、同法第20条第4項の規定により、原子力災害対策本部長から防衛大臣に対し、自衛隊の部隊等の派遣の要請がなされた。

2 自衛隊は、自衛隊の原子力災害派遣に関する訓令(平成12年防衛庁訓令第75号)第2条第4号に規定する原子力災害派遣を実施する。

3 各方面総監、中央即応集団司令官、通信団長、警務隊長、陸上自衛隊中央輸送業務隊長、化学学校長、関東補給処長、自衛艦隊司令官、各地方総監及び自衛隊情報保全隊司令は、所要の支援を実施せよ。

4 航空支援集団司令官は、原子力災害派遣の実施に関し、航空総隊司令官の指揮を受けよ。

5 航空総隊司令官は、航空支援集団司令官を指揮するとともに、所要の支援を実施せよ。

6 この命令の実施に関し必要な細部の事項は、統合幕僚長に指令させる。

7 なお、自行原命第4号(23.3.11)は、廃止する。

防衛大臣 北澤 俊美

現在は消されていますので、上記の命令が事実なのかどうか、何やら怪しいですが、仮にこの命令が事実だとしても、自衛隊の原子力災害対策専門部隊は、福島第一原発の現場には派遣されていないことは、事実が証明しています。1号機の爆発後すぐに自衛隊の原子力災害対策部隊が現地に派遣されていたならば、新聞、マスコミが報道しないはずはありません。東電が公表した資料にも自衛隊派遣の記載はありません。2号機から4号機の爆発、火災時についても全く同様です。

つまり自衛隊が福島原発の現場に派遣されたのは、16日の自衛隊によるヘリを使った放水が初めてであったということです。上記の内閣総理大臣の派遣要請に基づく命令によって、自衛隊の原子力災害対策部隊が実際にはどの地域に派遣され、どのような対策に従事したのかは、防衛省のホームページからは確認することはできませんでした。

(3)原子力災害と自衛隊

ただはっきりしていることは、上記の命令は、原発の爆発という、世界史上にも例のない異常な危機に襲われた福島第一原発の災害の現場に、自衛隊の原子力災害対策部隊を派遣するものではなかったということです。自衛隊には原子力対策の専門部隊が存在していることが上記命令からも分かりますが、実際には、自衛隊は福島原発事故では原子炉4機の爆発、火災が終了した後、放水に出動させられただけでした。ただ、爆発後かなり後の北沢氏の記者会見で、自衛隊の原子力災害対策派遣部隊が、Jビレッジで待機しているとの話が出ていましたので、自衛隊は放水時以外はJビレッジにいるらしい。Jビレッジとは、福島原発から少し離れた双葉町にある、日本最大規模のサッカートレーニング施設です。東電が130億円をかけて建設し寄附したものだという。原発事故後は、事故対策施設として使われているという。

原子力の災害現場に直接自衛隊の専門部隊を派遣せずして、いったい何のための「原子力災害特別措置法」なのか。東電が原子炉の爆発後、自衛隊と米軍に任せたいと言ったのは、法的にも根拠のある要望だったわけです。しかし菅直人は、この法律に基づいて国土と国民の安全を守る義務を負っていたにもかかわらず、原発4機が次々と爆発、損傷するに任せていたわけですから、内閣総理大臣としてのもっとも基本的で最も重要な任務を放棄していたことは明々白々です。国土と国民の安全を脅かしながら、菅直人は、いったい何時まで総理大臣の座にしがみつこうとしているのか。

上記自衛隊の命令に「6 この命令の実施に関し必要な細部の事項は、統合幕僚長に指令させる。」とありますが、これこそが作戦実行の正しい在り方です。細部の具体的な行動については防衛大臣ではなく、防衛専門のトップである統合幕僚長に委任することなしに、現場での正しい作戦の実行は不可能です。しかし菅政権は、素人の総理大臣や経産省大臣などが直接現場に介入し、原発事故を日々拡大し続けてきました。

この恐るべき素人集団による菅命令によって、原発の電源破壊作戦が実施されたことが、北沢氏の記者会見で図らずも暴露されています。防衛省のホームページに掲載されていたその会見内容を以下、そのまま紹介します。自衛隊による初の放水が始まった3月17日の翌朝、18日の会見録です。

<大臣会見概要>

平成23318(1058分~1100)

1 発表事項

なし

2 質疑応答

Q:福島原発の対応ですけれども、昨日は自衛隊がヘリと地上から放水行いましたけれども、今日の活動についてはどのように考えているでしょうか。また、その時間的な目途について、またその3号機、4号機、その対象についても教えて下さい。

A:昨日は一定の成果がありました。今日は更に根本的な対応が必要だということで、午前中は電気系統に集中するということです。午後からまた地上からの放水をやります。まず最初に、消防庁の機能の高い放水車、これは何号機に行くかというのは対策本部で決めますが、一方で同時に自衛隊の消防車と、2系列で放水します。

Q:総理から今、先程の閣議後の後で、会議があったと思うのですけれども、どのような指示がありましたでしょうか。

A:総理は、とにかく指揮系統をきちんとして、総理の考えはなるべく前線へ指揮系統を進めていきたいという気持ちがどうも強いようであり、それは既にあるわけで、そこを強化していくとの考えです。実施部隊は、Jビレッジのところにおり、所要があれば自衛隊が責任を持って対応するということです。

Q:今日は基本的には、上空からはないということですか。

A:今日は上空はやりません。

Q:地上放水は、3号機を対象で宜しいのでしょうか。自衛隊の地上放水なのですけれども。

A:自衛隊はそうです。

(赤文字着色は久本。)

上記会見で、わたしが赤の着色で注意を喚起している箇所をご注目ください。原発への放水作戦という「細部の事項」も、言うまでもなく菅政権の指示によるものです。何度読んでも信じられませんが、3月18日には「さらに根本的な対応」策として、原発内の「電気系統に集中」して放水したということです。電気系統が水には弱いということは子どもでも知っていますので、いくらおつむの弱い菅氏とその政権の面々でも知らないはずはありません。当然のことながら、それを百も承知で、電気系統への水攻め作戦を展開したということです。

わたしはこの事実に気づいた時には、身の毛のよだつ思いに襲われました。おそらく大津波を受けても電源は切れたものの、さほどの損傷を受けていなかった思われる電気系統を「根本的に」破壊し、電源復旧を完全に不能にするために、菅政権は、自衛隊の放水車を使って電気系統に大量の水を浴びせ続けるという超異常な作戦を展開しました。

菅政権の福島原発対策で、「電気系統」という電源に関わる言葉が登場したのは、北沢氏のこの会見録が初めてです。その初の登場が電源破壊作戦の中であったというところに、菅政権の福島原発対応の全てが象徴的に表わされています。彼らはもともと電源復旧には関心がなかっただけではなく、電源の壊滅的破壊のために、自衛隊を使ったということです。 しかも3月18日は、外部電源復旧作業が本格的に始まった日です。またわたしが電源復旧こそが原発安定化の鍵であると論じ「デジタルブックレット葦」9ー3号の3福島原発爆発の怪を公開した日であり、朝日新聞朝刊のトップにも、電源復旧こそ原発安定化への鍵だとの記事が出た日でもあります。その日に電源破壊を狙った電気系統への大量放水がなされたことは、菅政権が非常に露骨に、明確な意思をもって電源破壊作戦を実施したことを意味しています。この後も電気系統への放水はなされたのではないかと思われます。そもそも外部電源復旧作業は17日から開始の予定でしたが、放水の邪魔になるとして翌日に延ばされています。電源復旧作業が完了する前に、電気系統に大量に放水するために遅らせたのは明白ですが、当然、菅政権の指示によるものです。


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